不思議な生態のミノムシが絶滅危惧種に!激減したのは寄生蝿が原因だった

ある秋のよく晴れた日、ふと気づくと道端の木の枝から大きなミノムシ(蓑虫)が風に吹かれてぶら下がっていました。
とても懐かしくなると同時に「はて、子供の頃によく見かけたミノムシだけど、最近さっぱり見なくなったな」と思い調べてみたら、驚愕の事実が発覚しました。
なんとミノムシだけを食い荒らす寄生虫の被害により、ミノムシが絶滅危惧種に選定されているというのです!
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Contents
秋の風物詩、ミノムシってどんな虫?
ミノムシは秋に良く見かける虫でした。
夏の賑やかな雰囲気がそっと鎮まり、風が冷たくなってどことなく寂しく、物悲しい季節になると自然に枝からぶら下がる自然のアクセサリー。
俳句でも秋を表す季語として扱われ、昔から我々日本人の心のなかに生きてきた虫です。
ミノムシの正式名称は「オオミノガ」
ミノムシというのはガの幼虫が蓑をまとった姿を指し、日本だけでも20種類以上のミノムシが生息しています。
ミノムシの驚くべき生態!
ミノムシはオスとメスで全く姿形が違います。
これはオオミノガの雄の成虫です。
出典:http://mushinavi.com/navi-insect/data-ga_mino_oo.htm
羽や足があります。
つづいてメスです。
出典:http://mushikurotowa.cooklog.net/Entry/256/
羽や足はありません。
※そういえば子供の頃に見た袋の中のミノムシはこんなかんじで「ドリル虫だ-!」なんて騒いでいた気がします。
びっくりですが、なんとミノムシのオスには口がありません!
蓑から出たオスはメスの匂いを頼りに飛び回り、交尾したあとはすぐに死んでしまいます。
そしてなんとメスは一生芋虫のような姿のまま蓑の中で過ごし、卵を産むと死んでしまい、袋の外に落下してしまいます。
なんと儚い命なのでしょうか。
私はミノムシへ同情してしまいます。
昔、学校の生物の本で、ミノムシを短冊状に切った折り紙のなかに入れるとカラフルな蓑を作る「ミノムシアクセサリー」という遊びが載っていて、私は学校帰りに必死になってミノムシを探しましたが、いざ探すとなかなか見つからなかった記憶があります。
やっと見つけたミノムシの入った蓑を触ると少し暖かく感じ、そしてフワッと柔らかいので私はミノムシが好きでした。
また蓑自体も非常に頑丈で、内側のミノムシの糸によってできた袋状の繭の部分は、子供の力ではなかなか千切れないぐらい丈夫な布のような繭だったと思います。
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ああ、ミノムシたちよ、頑張れ!
最近めっきり見かけなくなったミノムシですが、激減の原因がありました。
中国より渡来してきた、ミノムシにのみ寄生して殺してしまう寄生蝿「オオミノガヤドリバエ」によって大量に食い殺されてしまいました。
オオミノガヤドリバエはもともと中国で害虫として扱われていたミノムシを駆除するための生物兵器で、いわばハブ退治のためのマングースのようなものです。
それが日本に入ってきてしまって被害が拡大したとのことです。
幸い、このオオミノガヤドリバエは寒さに弱く、ミノムシへの被害は関東以南にとどまっているようですが、それでも全国いたるところでレッドデータに登録されてしまいました。
オオミノガヤドリバエはミノムシを見つけると、ミノムシの食べる葉などに卵を産み付け、ミノムシによって噛み砕かれずに腹の中に入った卵はミノムシの体内で羽化し、体を食い荒らしてしまうという恐ろしいヤツです。
そんな蓑袋を開けてみると、ミノムシは干からびて小さく黒く変わり果てた姿になり、オオミノガヤドリバエのサナギでいっぱいになります。
生き物たちの世界は人間が気づかないほど小さな世界ですが、毎日生きるか死ぬかの真剣勝負です。
このようなパラサイト型の生き物も数多く存在し、彼らだって他の生き物に寄生されることがあります。
そう考えると、私たち人間が健康に生きているというのは奇跡のような状態と言えますね。
体に一緒に住んでいるさまざまな微生物に感謝して、今日もバランスよく生きたいと思います。
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2017年 6月 07日トラックバック:Tシャツのデザインちぅ。 | キダキカク
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